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脳卒中後に「本人と家族が一緒に受ける支援」は役立つ?28件の研究で分かったことと、変わりにくかったことを正直に解説

自費リハビリ情報 読了目安 約10分 文・
脳卒中後に本人と家族で受ける支援を解説する写真調サムネイル
記事のテーマを表した生成イメージです。実在の利用者様や施術実績、個別の練習手順を示すものではありません。

この記事の結論

28件のランダム化比較試験をまとめた分析では、ご本人とご家族が一緒に受ける支援で、家族の介護負担が介入後1〜3か月の時点で軽くなる傾向がみられました2。一方、ご本人や家族の気分の落ち込みや、ご本人の生活の自立度でははっきりした差がみられませんでした2。研究の規模や質にはばらつきがあります1,3。

「退院後、家族としてどう関わればいいのか分からない」「介護をする自分も気持ちに余裕がなくなってきた」。脳卒中のあとの生活は、ご本人だけでなく、一緒に暮らすご家族にとっても大きな変化です。

この記事では、ご本人とご家族が「一緒に」参加する支援が、ご本人とご家族それぞれにとって何が変わりやすく、何が変わりにくいのかを、3本のレビュー研究をもとに整理します。

目次

本人と家族が一緒に受ける支援(ダイアド介入)とは?

本人と家族が一緒に受ける支援とは、脳卒中のご本人と介護するご家族の2人(ダイアド:dyad)を1つの単位として、両方が参加するプログラムを行う方法です1,2。英語ではdyad interventionと呼ばれます1。

これまでの支援は、ご本人かご家族のどちらか一方を対象にすることが多かったのに対し、ダイアド介入は2人がそれぞれ抱える悩みと、2人に共通する悩みの両方に取り組むことをめざしています1。

脳卒中の知識と介護の練習
脳卒中についての説明や、介助のしかたを家族が学ぶ内容です1,2。
一緒に受ける心理・社会的な支援
問題の解決のしかた、ストレスへの対処、目標の立て方などを2人で練習する内容です1,3。
家族と一緒に行う運動
家族がご本人の運動を手伝いながら一緒に行う内容です1。
自宅で夫婦が女性の支援者に相談しているイメージ
記事のテーマを表した生成イメージです。実在の利用者様や施術実績、個別の練習手順を示すものではありません。

研究では何が分かっている?

結論から言うと、家族の介護負担や、ご本人の困りごとへの向き合い方(対処する力)には良い変化がみられた一方で、気分の落ち込みや生活の自立度でははっきりした差がみられませんでした2。

システマティックレビュー・メタ分析 2025年(28件のランダム化比較試験)

2024年10月までに発表された、脳卒中のご本人と家族介護者の両方を対象にした支援のランダム化比較試験28件をまとめた分析です2。支援の多くは対面で行われ、脳卒中の知識の提供、家族関係の支援、つらい気持ちの軽減を中心にしていました2。期間は4日〜9か月で、1回20分〜2時間の面接を4〜16回行う研究が多くありました2。

家族の介護負担は、介入後1か月(標準化平均差−0.44)と3か月(−0.39)の時点で軽くなる傾向がありました2。ご本人の困りごとへの対処する力(標準化平均差0.30)や、家族からみた家族の機能(家族としてのまとまりや支え合い)にも良い変化がみられました2。

出典:Xing X, et al. Front Public Health. 2025
システマティックレビュー 2025年(17件の研究)

約6万5千件の文献から、ご本人とご家族が少なくとも1回は一緒に参加し、生活の質・活動・参加を2人とも評価した17件の研究をまとめたレビューです1。

健康に関連した生活の質への影響は研究によって結果が分かれました1。良い結果を示した研究では、ご本人・ご家族に中くらいから非常に大きな差が報告されました。ただし極端に大きな効果量も含まれ、研究間で結果が分かれるため、平均的な改善幅として受け取ることはできません。家族自身の活動や社会参加を評価した研究はほとんどありませんでした1。

出典:Kringle EA, et al. Disabil Rehabil. 2025

介護するご家族への支援全般については、脳卒中後の家族・介護者支援について解説した記事で、家族が手伝う運動については脳卒中後の家族が行うリハビリについて解説した記事で紹介しています。

何が変わりやすく、何は変わりにくい?

28件の研究の分析では、改善する傾向が示されたのは家族の介護負担とご本人の対処する力でした。一方、気分の落ち込みと生活の自立度では、比較対象との差を明確に示せませんでした2。

良い変化がみられたもの
・家族の介護負担(介入後1か月・3か月)
・ご本人の困りごとへの対処する力
・家族からみた家族の機能(まとまりや支え合い)2
はっきりした差がみられなかったもの
・ご本人と家族の気分の落ち込み
・ご本人の生活の自立度
・ご本人の自己効力感(できるという自信)
・2人の関係の質
・家族の対処する力2
結果が安定しなかったもの
ご本人の生活の質は、統合すると大きな差がありましたが、研究間のばらつきが非常に大きく(I²=98%)、1件の研究を除くと差はみられませんでした2。家族の生活の質にも、はっきりした差はみられませんでした2。

どんな支援の形がよさそう?

18件の研究をまとめたレビューでは、知識の提供に加えて、問題解決やストレス対処、目標設定などの「やり方を身につける練習」を組み合わせた支援で、良い結果が多く報告されていました3。

システマティックレビュー 2022年(18件の研究)

2016年12月〜2021年3月に発表された、脳卒中の家族介護者向け、またはご本人とご家族の両方向けの支援の研究18件を検討したレビューです3。18件中13件はランダム化比較試験で、参加者数は7〜349組と幅があり、8件は50組未満の小規模な研究でした3。

ご本人とご家族の両方を対象にした支援では、ご本人の状態に良い変化がみられ、一部の研究では家族の状態にも良い変化がみられました3。2人の状況を確かめて内容を合わせた支援のほうが、よい結果になりやすい傾向がありました3。

出典:Bakas T, et al. Stroke. 2022
研究で報告されていた支援の進め方
1. 最初に、ご本人とご家族それぞれの困りごとや必要なことを確かめる3
2. 脳卒中や介護についての説明(心理教育)に、問題解決・ストレス対処・目標設定の練習を組み合わせる3
3. 面接を5〜9回行う研究では良い変化が報告されていましたが、最適な回数が決まったわけではありません。本人と家族の状況に合わせて調整します3
4. 対面と電話を組み合わせるなど、続けやすい形を選ぶ2,3

目標の立て方については、脳卒中後の協働的目標設定について解説した記事でも紹介しています。

エビデンスの質と限界・まだ分かっていないことは?

エビデンスの質と限界

28件の研究の分析では、多くの研究で参加者や支援者が割り付けを知っている状態(盲検化なし)で行われ、一部に偏り(バイアス)のリスクが高い研究が含まれていました2。英語の論文だけを対象にしている点も限界とされています2。

18件の研究のレビューでは、参加者の少なさと、結果をほかの方に当てはめられるかどうか(一般化のしやすさ)が大きな限界とされています3。配偶者以外の家族(お子さんなど)や、1年以上介護を続けている家族は研究で十分に検討されていませんでした3。研究の多くは高所得国で行われていました1。

まだ分かっていないこと
・ どの種類の支援が、どのような仕組みで役立つのか1
・ 家族自身の活動や社会参加が変わるかどうか(評価した研究がほとんどない)1
・ 配偶者以外の家族や、長く介護を続けている家族にも当てはまるか3
・ オンラインだけで行う支援が役立つかどうか(研究の人数が少なく判断できない)3

家族と一緒に取り組むとき、どんなことに気をつける?

研究からは、ご本人とご家族それぞれの困りごとを確かめたうえで、2人に合わせた形で進めることが大切だと考えられています3。

ご本人・ご家族で確認しておきたいこと
1. ご本人の困りごとと、ご家族の困りごとを分けて書き出してみる1,3
2. 2人に共通する悩み(外出、家事の分担、将来への不安など)を話し合う1
3. ご家族自身の疲れや気持ちの負担も、遠慮せずに相談先に伝える2,3
4. 気分の落ち込みが続く場合は、この支援だけに頼らず、主治医や専門職に相談する2
夫婦が男性の支援者とノートを使って生活の計画を相談するイメージ
記事のテーマを表した生成イメージです。実在の利用者様や施術実績、個別の練習手順を示すものではありません。

作業療法士の視点

研究のまとめからは、ご本人とご家族が一緒に受ける支援で、家族の介護負担が軽くなる傾向がみられています2。一方で、気分の落ち込みや生活の自立度でははっきりした差がなく、すべての方に同じ結果が当てはまるわけではありません2,3。

大切なのは、ご本人だけ、ご家族だけで抱え込まずに、2人それぞれの困りごとと共通の悩みを言葉にし、相談できる相手と一緒に整理していくことだと考えています。

自宅の食卓で夫婦が会話しているイメージ
記事のテーマを表した生成イメージです。実在の利用者様や施術実績、個別の練習手順を示すものではありません。
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まとめ

・ 28件のランダム化比較試験のまとめでは、ご本人とご家族が一緒に受ける支援で、家族の介護負担が介入後1〜3か月の時点で軽くなる傾向がみられました2
・ ご本人の対処する力や、家族からみた家族の機能にも良い変化がみられました2
・ 気分の落ち込み、生活の自立度、関係の質でははっきりした差がみられませんでした2
・ 知識の提供に問題解決・ストレス対処・目標設定の練習を組み合わせ、5〜9回程度行う形が多く報告されていました3
・ 小規模な研究や偏りのリスクがある研究も多く、配偶者以外の家族での検討は不足しています2,3
免責事項

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療行為・診断・治療を推奨するものではありません。ご本人やご家族の気分の落ち込みや強い疲れが続く場合は、主治医や地域の相談窓口にご相談ください。治療や運動の内容を始める・変える前には、担当の医師・リハビリ専門職にご相談ください。紹介した研究データは執筆時点(2026年10月)のもので、今後の研究により変わる可能性があります。

よくある質問

Q. 本人と家族が一緒に受ける支援(ダイアド介入)とは何ですか?

A. 脳卒中のご本人と介護するご家族の2人を1つの単位として、両方が参加するプログラムのことです1,2。脳卒中の知識や介護の練習、ストレス対処、家族と一緒に行う運動などの内容があります。

Q. 家族の介護負担は軽くなりますか?

A. 28件の研究のまとめでは、家族の介護負担が介入後1か月と3か月の時点で軽くなる傾向がみられました2。ただし研究の規模や質にはばらつきがあり、すべてのご家族に同じ結果が当てはまるとは限りません。

Q. 本人の気分の落ち込みにも役立ちますか?

A. 28件の研究のまとめでは、ご本人と家族の気分の落ち込みには、はっきりした差がみられませんでした2。気分の落ち込みが続く場合は、主治医や専門職に相談することが大切です。

Q. 本人の生活の自立度は変わりますか?

A. 28件の研究のまとめでは、ご本人の生活の自立度にははっきりした差がみられませんでした2。生活動作の練習は、ご本人の状態に合わせたリハビリと組み合わせて考える必要があります。

Q. どのくらいの回数を行うことが多いですか?

A. 18件の研究のレビューでは、ご本人とご家族への面接を5〜9回程度行う形が支持されていました3。28件の研究のまとめでは、1回20分〜2時間の面接を4〜16回行う研究が多く、期間は4日〜9か月と幅がありました2。

Q. 子どもが介護している場合にも当てはまりますか?

A. 研究の多くは配偶者が介護者で、お子さんなど配偶者以外の家族については十分に検討されていませんでした3。そのため、配偶者以外の家族に同じ結果が当てはまるかどうかは、まだ分かっていません。

参考文献

1. Emily A Kringle, Jessica Kersey, Grace J Kim, Sutanuka Bhattacharjyaほか. Dyad interventions for health-related quality of life, activity, and participation after stroke: a systematic review. Disability and rehabilitation. 2025. PubMed DOI 公開本文
2. Xinyue Xing, Liping Pu, Wanyue Hu, Yu Xiaoほか. The impact of dyadic interventions on psycho-social outcomes for stroke patients and their caregivers: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in public health. 2025. PubMed DOI 公開本文
3. Tamilyn Bakas, Michael J McCarthy, Elaine L Miller. Systematic Review of the Evidence for Stroke Family Caregiver and Dyad Interventions. Stroke. 2022. PubMed DOI 公開本文
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