人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリとは?痛み・歩行・生活動作に関する研究と限界を正直に解説

· 整形疾患情報
田中 光 作業療法士 Journey Rehab代表
田中 光(作業療法士)|株式会社Journey Rehab 代表
認定作業療法士/修士(作業療法学)
東京都立大学大学院 博士後期課程 在籍
初台リハビリテーション病院にて脳卒中リハに従事のち独立
人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリとは?痛み・歩行・生活動作に関する研究と限界を正直に解説

「退院はしたけれど、この先どこまでリハビリを続ければよいのか分かりません」「膝を曲げるのが怖くて、動かすのをためらってしまいます」「歩けるようにはなったけれど、以前のようには階段が下りられません」。人工膝関節の手術を受けた方やご家族から、こうしたご相談をいただきます。

結論から正直にお伝えします。この分野には意外な研究結果があります。2024年に報告された比較試験(DRAW1)では、退院後に運動プログラムを処方した群と、処方しなかった群とで、生活動作の点数に差がみられませんでした2。一方で、筋力トレーニングそのものについては、痛み・筋力・膝の曲がりで良好な結果を示したメタアナリシスもあります4

つまり「リハビリをすれば必ず良くなる」とも「リハビリは不要」とも言い切れないのが現状です。この記事では、何がどこまで示されていて、どこからが分かっていないのかを、数字と限界の両方を添えて整理します。

SECTION 01
手術のあとに残りやすい困りごと

人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty、以下TKA)は、変形性膝関節症などで傷んだ関節面を人工の部品に置き換える手術です。痛みの軽減という点では確立された手術ですが、術後に困りごとがまったく残らないわけではありません。研究で扱われている項目は、おおむね次のように整理できます。

1. 膝の曲げ伸ばし(可動域)
正座はできなくなることが多く、しゃがみ込みや和式の動作に制限が残ります。研究では屈曲・伸展の角度が評価項目になっていますが、測定する姿勢が研究ごとに異なるため、統合すると数値のばらつきが大きくなります3
2. 太ももの筋力低下
手術の前から筋力が落ちていることが多く、術後もしばらく戻りにくい部分です。研究では膝を伸ばす力(膝伸展筋力)と曲げる力が主な評価項目になっています4
3. 立ち座り・階段・歩行のスピード
Timed Up and Go(立ち上がって3m歩いて戻る時間)、6分間歩行距離、歩行速度、階段昇降の時間が研究で使われる指標です3,4。膝そのものより、動作全体の安定感が課題になることがあります。
4. 「動かすのが怖い」という気持ち
見落とされやすいのが、痛みへの不安から体を動かすことを避けてしまう状態です。これは運動恐怖(kinesiophobia)と呼ばれ、研究の対象になっています。
メタアナリシス 2025年
TKAを受けた4,039名を含む11件の研究(横断研究9件・コホート研究2件)をまとめた解析です。運動恐怖はTampa Scale of Kinesiophobiaという質問紙で測られています。

結果は、運動恐怖がみられた方の割合は35%(95%信頼区間 27〜44%)。関連する要因としては、痛みの強さ(オッズ比 2.313、95%信頼区間 1.556〜3.07)、社会的なサポートの少なさ(1.681、1.000〜2.361)、否定的な対処のしかた(1.344、1.165〜1.523)などが挙げられています。

ただし、研究間のばらつきは非常に大きく(I²=97.05%)、対象となった研究の多くは中国で行われた横断研究です。日本の状況にそのまま当てはめられる数字ではありません1
Du X ら, Journal of Orthopaedic Surgery and Research, 2025

数字の当てはめには注意が必要ですが、「怖くて動かせない」という感覚が個人的な弱さではなく、研究の対象になるほど一般的な状態だという点は、知っておいて損のない情報だと思います。

TKA後に専門職の見守りで椅子からの立ち座りを練習する場面
立ち座りは、痛みや術後の指示を確認し、安定した椅子と見守りのもとで段階的に行います。
SECTION 02
「監督つきのリハビリは必要か」という問い

リハビリの提供者として書きにくい話ですが、最初にお伝えしておくべき研究があります。

ランダム化比較試験 2024年(DRAW1)
変形性関節症で人工股関節または人工膝関節の手術を受けた168名を、3群に1:1:1で割り付けた実用的な比較試験です。

・遠隔リハビリ群(動作センサーとアプリを使い、理学療法士が遠隔で確認)
・在宅運動群(同じ運動を、動画リンク付きの紙のプログラムで実施)
・運動を処方しない群(手術の説明資料のみ)

運動は1日3セット×10回、15RM相当の強度で、2週ごとに負荷を上げる設定でした。主要評価項目は、生活動作に関する自己記入式の点数(HOOS/KOOSのADL)です。

結果は次のとおりです。
・術後6週:運動を行った群 +21.9点、行わなかった群 +18.5点、群間差 3.3点(95%信頼区間 −1.9〜8.6、p=0.10)
・3か月:群間差 1.9点(−3.7〜7.6)
・12か月:群間差 2.6点(−4.4〜9.6)

いずれの時点でも統計的な差はみられませんでした。痛み・症状・生活の質、30秒立ち座りテスト、10m速歩テスト、鎮痛薬の使用など、副次的な項目でも差は確認されていません。運動の遵守率は74.9%、満足度は3群とも81.3〜84.2%でした。

著者らは「人工股関節・人工膝関節の手術後において、運動療法は運動を処方しない条件に対して優れているとは言えなかった」と結論し、回復の道筋は処方された運動よりも手術侵襲への反応と自然な回復過程によって決まる部分が大きいのではないかと考察しています2
Mark-Christensen T ら, Osteoarthritis and Cartilage Open, 2024

同じ方向を示す研究がもう1件あります。プログラムの「中身」を工夫すれば結果が変わるのか、を調べたものです。

メタアナリシス 2021年
18件のランダム化比較試験・1,417名(平均67.1歳、女性64.2%)。水中運動、バランス訓練、リンパドレナージ、電気刺激、持続的他動運動、遠心性の筋力訓練、高強度の漸増、スリング訓練といった「工夫を加えたプログラム」を、標準的なプログラムと比較しています。

結果は、膝伸展可動域 −0.24度(95%信頼区間 −1.29〜0.81、I²=90%)、膝屈曲可動域 3.33度(−0.18〜6.83、I²=91%)、痛み(VAS)−0.71(−1.85〜0.43、I²=88%)、6分間歩行距離 4.34m(−20.74〜29.41)と、いずれも差がみられませんでした。

差がみられたのは2項目のみです。WOMAC(膝の症状と生活動作の質問紙)が −2.43点(−4.71〜−0.14、p=0.04、I²=48%)、Timed Up and Go が −0.65秒(−1.14〜−0.17、p=0.009、I²=52%)でした。

研究の質は比較的高く(PEDro平均8.7/11)、著者らの結論は「工夫を加えたリハビリプログラムは、画一的な方法と比べて、術後の臨床成績を系統的に良くするとは言えない」というものです3
Alrawashdeh W ら, Journal of Rehabilitation Medicine, 2021

この2件から言えるのは、「特別なプログラムを組めば、それだけ早く良くなる」という前提は、研究では支持されていないということです。同じ手術後のリハビリでも、たとえば大腿骨近位部骨折の手術後のリハビリについて解説した記事で扱った状況とは、前提が大きく異なります。骨折は突然の受傷であるのに対し、TKAは予定された手術で、術前から準備ができる点も違います。

SECTION 03
筋力トレーニングについての研究

一方で、「筋力トレーニングそのもの」に絞ると、やや異なる結果が報告されています。

メタアナリシス 2024年
14件のランダム化比較試験・880名(介入443名、対照437名)。下肢の自動抵抗運動(自分の力で行う筋力トレーニング)を、運動なしまたは抵抗運動を含まないリハビリと比較しています。プログラムは幅が広く、頻度は週1〜7回以上、期間は3〜48週、強度は自重から1RMの80〜90%まで。水中での抵抗運動、レッグプレス、セラバンド、アプリによる指導などが含まれます。

結果は次のとおりです。
歩行速度:平均差 0.13m/秒(95%信頼区間 0.08〜0.18、I²=0%)
Timed Up and Go:−0.92秒(−1.55〜−0.28、I²=66%)
膝伸展筋力:標準化平均差 0.58(0.20〜0.96、I²=64%)
膝屈曲筋力:標準化平均差 0.38(0.13〜0.63)
膝屈曲可動域:2.74度(1.82〜3.67、I²=0%)
痛み(VAS):−4.65(−7.86〜−1.44、I²=0%)
・6分間歩行距離:7.98m(−4.60〜20.56)=差なし
・階段昇降テスト:−0.79秒(−1.69〜0.10)=差なし
・膝伸展可動域:−0.60度(−1.23〜0.03)=差なし

ただしGRADEによる評価は全項目で「低い」。14件のうち11件(79%)はバイアスのリスクに懸念があり、低リスクは3件のみでした。著者ら自身も「効果量が小さいため、臨床的な意味は慎重に解釈すべき」と述べています4
Wei G ら, BMC Musculoskeletal Disorders, 2024

たとえば痛みの平均差 −4.65 は、0〜100mmのスケールで5mm弱にあたります。統計的には差がありますが、ご本人が体感できる大きさかというと、微妙なところです。「統計的に有意」と「実感できる変化」は別物という点は、この分野でも当てはまります。

なお、加齢に伴う全身の体力低下が重なっている場合は、膝だけを見ていても行き詰まることがあります。全身の観点については高齢者のフレイルと運動療法について解説した記事で整理しています。

SECTION 04
自宅でのリハビリと通院リハビリの比較

「通院を続けたほうがよいのか、自宅でできる形に切り替えてよいのか」も、よくいただく質問です。

メタアナリシス 2023年
初回TKAを受けた1,944名(女性60.1%)を含む9件のランダム化比較試験。自宅での遠隔リハビリと、病院の外来リハビリを比較しています。追跡は術後10〜52週。

痛み(VAS)は、6週以内 0.18(95%信頼区間 −0.07〜0.42)、14週以内 0.12(−0.26〜0.49)、52週以内 0.16(−0.11〜0.43)と、いずれの時点でも差がみられませんでした

一方、14週以内のKOOS(−2.62、−4.65〜−0.58)と膝可動域(2.00度、0.60〜3.40)では、わずかに外来リハビリのほうが良好という結果でした。

GRADEによる評価は「低〜中程度」、PEDroスコアは6〜9点。著者らは「長期の成績は同等であり、費用の観点から、自宅での遠隔リハビリは現実的な選択肢になりうる」と結論しています5
Zhang H ら, Medicine, 2023

この結果は、「通院できないから回復が遅れる」と心配されている方には、いくらか安心材料になるかもしれません。ただし、短期の可動域では外来のほうがやや良好だった点も、あわせて押さえておく必要があります5

TKA後に椅子を支えとして低負荷の下肢筋力練習を行う場面
筋力練習は、支持物を確保し、腫れや痛みの変化を見ながら負荷を調整します。
SECTION 05
エビデンスの質と限界
⚠ 数字を読むときに知っておいていただきたいこと
1. 筋力トレーニングのメタアナリシスは、GRADEで全項目「低い」と評価されています。14件中11件はバイアスのリスクに懸念ありでした4

2. 同じメタアナリシスでも、運動の頻度は週1〜7回以上、期間は3〜48週、強度は自重から1RMの80〜90%までと幅が広く、「何をどれだけやったか」が揃っていません4

3. 可動域の統合結果は、測定する姿勢が研究ごとに異なるためばらつきが極めて大きく(I²=90〜91%)、解釈が難しい項目です3

4. DRAW1は人工股関節と人工膝関節を混ぜた集団で行われており、膝だけを取り出した結論ではありません。著者らも運動量が不足していた可能性を限界として挙げています2

5. リハビリの研究では、参加者と実施者の盲検化ができません。この構造的な弱点は、どの研究にも共通します2,4,5

6. 運動恐怖の頻度(35%)は、対象研究の多くが中国で行われた横断研究で、ばらつきも極めて大きく(I²=97.05%)、日本での数字とは限りません1

7. 追跡期間が12週未満の研究が多く、長期の成績を示すデータは限られています4

加えて、研究に参加する方は「参加できる状態の方」に偏りがちです。合併症が多い方、術前から歩行が難しかった方、認知面の課題がある方は、そもそも試験に組み入れられていないことがあります。研究の平均像と、目の前のご本人が一致するとは限りません。

SECTION 06
まだ分かっていないこと
1. 誰に監督つきのリハビリが必要かが分かっていません。DRAW1は集団の平均としては差がないという結果でしたが、「一部の方には必要」という可能性を否定したわけではありません2

2. 最適な量・頻度・期間・強度が定まっていません。研究のプログラムは3〜48週とばらばらです4

3. いつから始めるのがよいかが確立していません。プログラム開始時期の定義そのものが研究間で揃っていないと指摘されています3

4. どの工夫が効いているのかを切り分けられていません。工夫を加えたプログラムをまとめた解析では、個々の要素の寄与を判別できないとされています3

5. 運動恐怖に対して何をすればよいかは、まだ介入研究が乏しい段階です。頻度と関連要因が整理されつつある段階にとどまります1

6. 1年より先の経過を扱った研究が少なく、長期的な違いは分かっていません4,5

7. 合併症が多い方・術前から歩行が難しかった方にどう当てはまるかは、検証されていません
SECTION 07
安全上の注意と進め方の目安
⚠ 実施前に必ずご確認ください
・術後の運動は、必ず執刀医・担当理学療法士の指示の範囲内で行ってください。人工関節の種類や手術の内容によって、避けるべき動作や荷重の条件が異なります
・膝の腫れが急に強くなった、熱をもっている、発赤がある、といったときは運動を中止し、速やかに主治医にご連絡ください
・ふくらはぎの痛み・腫れ・息苦しさは、血栓に関わる症状の可能性があります。すぐに医療機関へご相談ください
・転倒は人工関節周囲の骨折につながることがあります。段差・手すり・履物の見直しを、運動と同じくらい重視してください
・痛みを我慢して角度を出そうとするのは避けてください。強い痛みが数日続く場合は、量や方法を見直す合図です
研究で用いられた量:在宅の運動プログラム(DRAW1)
4種類の運動を、1日3セット×10回、15RM相当の強度で毎日。2週ごとに負荷を上げる設定でした2。遵守率は74.9%です。あくまで研究で用いられた条件であり、最適な量として確立されたものではありません。
研究で用いられた量:抵抗運動のプログラム
頻度は週1〜7回以上、期間は3〜48週、強度は自重から1RMの80〜90%まで幅がありました4。この幅の広さ自体が、「適量が定まっていない」ことの表れです。

反対側の膝や股関節に負担がかかっている方も少なくありません。股関節側の考え方については、変形性股関節症の運動療法について解説した記事もあわせてご覧ください。

SECTION 08
Journey Rehabでの考え方と正直なまとめ
Journey Rehabで大切にしている確認
手術日、執刀医からの指示、荷重条件、腫れ・熱感、痛み、転倒歴を確認し、通院先の方針と食い違わないことを優先します。当社のTKA支援実績をこの記事内で断定せず、相談時に対応範囲を個別に確認します。
この記事のまとめ
1. 168名の比較試験では、退院後に運動を処方した群と処方しなかった群で、生活動作の点数に差がみられませんでした2
2. 工夫を加えたプログラムも、標準的な方法と比べて系統的に良い結果を示してはいません3
3. 一方、筋力トレーニングそのものは、歩行速度・筋力・膝の曲がり・痛みで差が報告されています4
4. ただしその根拠の質はGRADEで全項目「低い」と評価されています4
5. 自宅での遠隔リハビリと外来リハビリは、長期の成績が同等と報告されています5
6. 短期の可動域では、外来リハビリのほうがわずかに良好でした5
7. TKA後の35%に運動恐怖がみられたという報告があります(ばらつきは極めて大きい)1
8. 「統計的に有意」と「本人が実感できる変化」は分けて考える必要があります4
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医療行為・診断・治療を推奨するものではありません。実施の可否や内容については、必ず担当の医師・リハビリテーション専門職にご相談ください。掲載している研究データは執筆時点のものであり、今後の研究によって解釈が変わる可能性があります。
Journey Rehabの訪問自費リハビリについて知りたい方へ
主治医の指示の範囲内で、膝の状態と生活動作を一緒に確認しながら進め方を考えます。
田中 光 作業療法士 Journey Rehab代表
執筆者:株式会社Journey Rehab 代表取締役|田中 光
保有資格
修士(作業療法学)
作業療法士(国家資格)/認定作業療法士:登録番号2836(日本作業療法士協会)
東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 作業療法学域 博士後期課程 在籍
経歴
・2016年:初台リハビリテーション病院に入職。脳卒中後遺症の回復期リハに従事
・2021年:大手自費リハビリ会社に転職後、2024年にフリーランスとして独立
・2025年:株式会社Journey Rehab設立。千葉県/東京都23区を中心に訪問型の自費リハビリを提供中
研究活動
・第57回日本作業療法学会(2023)ポスター発表
・第34回日本保健科学学会(2024)ポスター発表
論文執筆
・田中 光, 石橋 裕, 佐々木 智也, 坂本 泰平. (2025). 本邦における介護予防・日常生活支援総合事業におけるスコーピングレビュー. 日本老年療法学会誌, 4(1). 日本老年療法学会.
FAQ
よくある質問
Q. 退院後もリハビリを続けたほうがよいのでしょうか?
A. 一律には言えません。168名の比較試験では、運動を処方した群と処方しなかった群で、術後6週・3か月・12か月のいずれでも生活動作の点数に差がみられませんでした2。ただしこれは集団の平均の話で、「誰にとっても不要」という意味ではありません。何に困っているかによって判断が変わりますので、担当の医師・理学療法士にご相談ください。
Q. 筋力トレーニングはやったほうがよいですか?
A. 880名を含む解析では、歩行速度(+0.13m/秒)、膝伸展筋力(標準化平均差0.58)、膝屈曲可動域(+2.74度)、痛み(−4.65)で差が報告されています4。ただし根拠の質はGRADEで「低い」とされ、効果量も大きくはありません。始める前に、荷重や避けるべき動作について執刀医の指示をご確認ください。
Q. 通院できないのですが、自宅だけでも大丈夫でしょうか?
A. 1,944名を含む9件の比較試験の解析では、自宅での遠隔リハビリと病院の外来リハビリで、痛みに差はみられませんでした5。長期の成績も同等と報告されています。ただし14週以内の膝可動域では外来のほうがわずかに良好でした5。膝の曲がりに課題が残っている時期は、通院の頻度を落としすぎない判断もありえます。
Q. 膝を動かすのが怖くて、練習が進みません。
A. めずらしいことではありません。4,039名を含む解析では、TKA後に運動恐怖がみられた方の割合は35%(95%信頼区間 27〜44%)と報告されています1。関連する要因として痛みの強さ(オッズ比2.313)や周囲のサポートの少なさ(1.681)が挙げられています1。ご自身の気持ちの弱さの問題ではありませんので、正直に担当の専門職へお伝えください。
Q. 正座はできるようになりますか?
A. 一般に難しいと考えておいたほうがよい動作です。人工関節の種類や手術の内容によって許容される角度が異なりますので、可否は必ず執刀医にご確認ください。無理に角度を出そうとすると、人工関節そのものに負担がかかることがあります。
Q. どのくらいの期間、続ければよいですか?
A. 決まった答えはありません。研究で用いられたプログラムは3〜48週と幅があり、最適な期間は定まっていません4。開始時期の定義すら研究間で揃っていないと指摘されています3。生活の中で何ができるようになりたいかを起点に、続けられる形を担当の専門職と決めることをお勧めします。
Q. すぐに医療機関へ相談すべきなのはどんなときですか?
A. 膝の急な腫れ・熱感・発赤、ふくらはぎの痛みや腫れ、息苦しさ、転倒した場合などは、様子を見ずにご連絡ください。人工関節では感染や血栓、関節周囲の骨折といった事象があり、早い対応が必要になります。判断に迷う段階でご相談いただいて構いません。
運営主体・利益相反について
本記事は、自費リハビリサービスを運営する株式会社Journey Rehabが作成しています。記事内には当社サービスの案内を含みますが、文献の選定と研究結果の記載では利益だけを強調せず、根拠が乏しい点、研究間で結果が一致しない点、安全上の注意も併記しています。自社サービスにとって不利な研究結果(運動を処方しない群と差がなかったという報告)も、そのまま掲載しています。外部医師による監修記事ではありません。最終更新:2026年8月10日。
REFERENCES
参考文献
1. Du X, Shao Y, Xue J, Kong J. Prevalence and influencing factors of kinesiophobia after total knee arthroplasty: a systematic review and meta-analysis. Journal of Orthopaedic Surgery and Research. 2025;20:332. PMID: 40170179. PMCID: PMC11959722. DOI: 10.1186/s13018-025-05752-w

2. Mark-Christensen T, Thorborg K, Kallemose T, Bandholm T. Clinical benefit of physical rehabilitation after total hip and knee arthroplasty: A pragmatic, randomized, controlled trial (The DRAW1 trial). Osteoarthritis and Cartilage Open. 2024;6(4):100530. PMID: 39507936. PMCID: PMC11539412. DOI: 10.1016/j.ocarto.2024.100530

3. Alrawashdeh W, Eschweiler J, Migliorini F, El Mansy Y, Tingart M, Rath B. Effectiveness of total knee arthroplasty rehabilitation programmes: A systematic review and meta-analysis. Journal of Rehabilitation Medicine. 2021. PMID: 33846757. PMCID: PMC8814866. DOI: 10.2340/16501977-2827

4. Wei G, Shang Z, Li Y, Wu Y, Zhang L. Effects of lower-limb active resistance exercise on mobility, physical function, knee strength and pain intensity in patients with total knee arthroplasty: a systematic review and meta-analysis. BMC Musculoskeletal Disorders. 2024;25:730. PMID: 39267026. PMCID: PMC11395693. DOI: 10.1186/s12891-024-07845-9

5. Zhang H, Wang J, Jiang Z, Deng T, Li K, Nie Y. Home-based tele-rehabilitation versus hospital-based outpatient rehabilitation for pain and function after initial total knee arthroplasty: A systematic review and meta-analysis. Medicine. 2023;102(51):e36764. PMID: 38134064. PMCID: PMC10735162. DOI: 10.1097/MD.0000000000036764