【脳卒中リハビリ】「6ヶ月で回復は止まる」は本当?6ヶ月以降でも身体機能が向上するリハビリの科学的根拠

· 脳卒中下肢関連情報,脳卒中上肢関連情報

「発症から6ヶ月を過ぎたら、もう良くならない」と言われた方へ

Section image

脳梗塞や脳出血の後遺症に対して、
発症から6ヶ月を過ぎると、もう回復しない
と聞いたことがある方は少なくないと思います。

たしかに、脳卒中後の身体機能は、発症直後から数ヶ月の間に大きく変化しやすいことが知られています。

脳卒中の経過は、急性期、回復期、生活期・維持期に分けられ、回復期は発症からおよそ3〜6ヶ月以内、生活期・維持期はおよそ6ヶ月以降と整理されています。一般に、運動機能は発症から3〜6ヶ月までに顕著に回復し、それ以降は変化が少なくなると説明されています。(厚生労働省

そのため、6ヶ月という時期が、あたかも「回復の期限」のように受け取られてしまうことがあります。

しかし、これは「6ヶ月を過ぎたら身体機能が改善しない」という意味ではありません

実際に生活期リハビリの現場では、発症から6ヶ月以上経過していても、手足の動きが出しやすくなる方、歩行の安定性が向上する方、外を歩ける距離が伸びる方、外出への不安が減る方を多く経験します。

6ヶ月以降は「維持だけ」ではなく、生活に合わせて伸ばす時期

以下の図で説明されるように、発症直後から数ヶ月は、自然回復や集中的なリハビリによって、比較的大きな変化が起こりやすい時期です。一方、6ヶ月以降の生活期では、自然回復の影響は小さくなりやすく、改善のスピードも緩やかになります。(Langhorne P,2011

Section image

だからこそ生活期では、「自然に良くなるのを待つ」のではなく、今の身体機能を正しく評価し、生活上の困りごとに合わせてリハビリを再設計することが重要です。

生活期になっても、

・目的に合った練習

・十分な練習頻度と負荷量

・日常生活での活動量

・本人が主体的に取り組める目標設定によって

身体機能や日常生活動作が向上することがあります。

実際に、私が過去に担当した利用者様の中にも、発症から1年以上が経過し、屋内歩行にも見守りを要していた方がいました。

その方に対して、足の硬さや筋緊張の程度、バランス能力、歩行速度、歩行持久力などを評価したうえで、電気刺激療法や下肢筋力訓練、苦手な動作に対するバランス練習、歩行練習を組み合わせて実施しました。その結果、屋内では再び一人で歩ける場面が増え、屋外歩行もご家族と一緒に行えるようになった事例を経験したことがあります。

このような変化は、単に「時間が経ったら自然に良くなった」というものではありません。専門職が現在の身体機能を適切に評価し、課題を整理したうえで、その方に必要なリハビリを十分に行えたことが、生活期での身体機能や歩行能力の変化につながったと考えています。

生活期リハビリで改善が期待できる理由

生活期でも改善する方がいる理由は、まだ見直せる要素が残っていることが多いからです。

たとえば、

  • 筋力や体力が十分に鍛えられていない
  • 歩行練習の量が不足している
  • 装具や杖の設定が現在の身体に合っていない
  • 痙縮や足部変形への対応が不十分
  • 転倒への恐怖で活動量が低下している
  • 屋外歩行や段差など生活場面での練習が不足している

といった場合です。

これらは、適切な評価とリハビリによって介入できる余地があります

生活期でも改善が報告されている研究では、

Section image

脳卒中後6ヶ月を過ぎたあとでも、適切なリハビリを行うことで、身体機能や歩行能力が良くなる可能性が示されています。

たとえば、世界的に権威のある医学雑誌であるThe Lancetに掲載されたレビューでは、脳卒中後の回復は発症直後の時期だけでなく、その後も長期にわたって続く可能性があると報告されています。(Langhorne P,2011

また、(脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025])や、(AHA/ASAガイドライン,2016) のガイドラインでも、生活期において以下のようなリハビリが有効とされています。

  • 歩く練習(歩行訓練)
  • トレッドミル(歩行マシン)での練習
  • 筋力トレーニング
  • バランス練習
  • 複数の運動を組み合わせたトレーニング

特に重要とされているのは、「実際の動作に近い練習を、繰り返し行うこと」と「適度な運動量を確保すること」です。さらに、体力を高めるための有酸素運動も、あわせて行うことが勧められています。

これまで「生活期は維持が中心」と考えられてきましたが、近年の研究では、生活期であっても、機能の低下を防ぐだけでなく、改善を目指すことも重要であるとされています。(磯部光章

つまり、生活期リハビリでは、
「適切な評価に基づき、目的に合った運動を十分な量で継続することで、6ヶ月以降でも身体機能や歩行能力が改善する可能性がある」
と言えます。

ただし、すべての人が同じように改善するわけではありません

Section image

6ヶ月以降も改善の可能性はありますが、すべての方が同じように大きく改善するわけではありません。

改善の程度は、脳の損傷部位、麻痺の重症度、感覚障害、痙縮、認知機能、疼痛、心肺機能、整形外科的な問題、生活環境、リハビリ頻度、本人の目標などによって異なります。

また、無理に装具や杖を外したり、痛みや疲労を我慢して歩き続けたりすると、転倒や二次的な痛みにつながる可能性があります。

そのため、生活期で身体機能の向上を目指す場合には、自己判断ではなく、医師や理学療法士・作業療法士などの専門職と相談しながら進めることが重要です。

おわりに

脳卒中後6ヶ月以降は「終わり」ではなく、生活に合わせて能力を伸ばしていく時期です。

「6ヶ月を過ぎたから、もう変わらない」と決めつけるのではなく、今の歩き方、身体機能、生活上の困りごとを一度見直すことが大切です。

回復期リハビリを退院した後の生活期だからこそ、今の状態を見たうえで、適切なリハビリ方法を考える必要があります。

「自分も当てはまるかもしれない」
「今の状態を一度しっかり見てもらいたい」
「6ヶ月を過ぎたけれど、まだ改善できることがあるのか知りたい」

そう感じた方は、まずは体験リハビリで、今の状態と今後の可能性を確認してみませんか。

千葉で脳卒中後のリハビリにお悩みの方は、自費リハビリサービスの活用も選択肢の一つです。当事業所では、一人ひとりの身体機能、歩き方、生活上の困りごとを確認したうえで、科学的根拠と現場経験を踏まえた個別リハビリをご提案しています。

参考文献

・厚生労働省. 治療と就業の両立支援 脳卒中に関する留意事項. 厚生労働省; 2026. https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001639643.pdf

・Langhorne P, Bernhardt J, Kwakkel G. Stroke rehabilitation. Lancet. 2011;377(9778):1693–1702. https://www.neurofys.dk/files/1/stroke_rehabilitation_langhorn.pdf

・日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会(改訂2025). 『脳卒中治療ガイドライン 2021〔改訂 2025〕』, 日本脳卒中学会, 2025年6月30日. https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf

・Winstein CJ, Stein J, Arena R, Bates B, Cherney LR, Cramer SC, et al. Guidelines for adult stroke rehabilitation and recovery: a guideline for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. 2016;47(6):e98–e169. doi:10.1161/STR.0000000000000098. https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/str.0000000000000098

・磯部光章(監修), 厚生労働科学研究費補助金「循環器病の慢性期・維持期におけるリハビリテーションの有効性の検証のための研究」班 脳卒中グループ. 脳卒中の維持期(生活期)リハビリテーションの効果に関するナラティブレビュー. 脳卒中. 2024;46(1):88–119. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/46/1/46_11194/_pdf

執筆者情報

Section image


株式会社Journey Rehab 代表|田中

作業療法士(国家資格)/認定作業療法士(日本作業療法士協会)/修士(作業療法学)

東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 作業療法学域 博士後期課程 在籍

▪️経歴

・2016年:初台リハビリテーション病院に入職。脳卒中後遺症の回復期リハに従事

・2021年:自費訪問リハビリ分野に活動を広げ、2024年にフリーランスとして独立

・2025年:株式会社Journey Rehab設立。千葉県を中心に訪問型の自費リハビリを提供中

▪️ 研究活動

・第57回日本作業療法学会(2023)ポスター発表

・第34回日本保健科学学会(2024)ポスター発表

▪️論文執筆