脊柱管狭窄症でこんな症状に困っていませんか?

脊柱管狭窄症では、次のような訴えがよく見られます。
- 少し歩くと、足がしびれて立ち止まりたくなる
- スーパーで買い物をしている途中に、足が重くなって休みたくなる
- 立って料理をしていると、足がつらくなる
- 病院に行くのも、駅まで歩くのも不安になってきた
これらは、脊柱管狭窄症では、腰の痛みそのものに加えて、歩くと足がしびれる、痛い、重い、力が入りにくいといった症状に困る方が多くいます。特に、立つ・歩くとつらくなり、座るとかがむと少し楽になるのが特徴です。
なぜ、少し歩くと足がしびれるのか
脊柱管狭窄症では、加齢に伴う椎間板の変性、骨や椎間関節・靭帯の変形などにより、腰の中を通る神経の通り道が狭くなります。
その結果、立つ、歩く、腰を反らすと神経が圧迫され、神経への血流が低下することでこれらの症状を生じてしまいます。(Deer T, 2019)
そのため、足にしびれ、痛み、重だるさ、疲れやすさが出ます。反対に、
座る、前かがみになる、少し体を丸めると楽になりやすいです。

これらの症状は、「神経性間欠跛行」と呼ばれ、歩くと足や腰がつらくなり、休むとまた少し歩けるのが特徴です。
例えば、
- スーパーのカートを押すと少し楽
- 自転車はまだ何とかできる
- 下り坂より上り坂のほうが歩きやすい
といった特徴も、前かがみ姿勢によって神経への負担が減るために起こります。
自分でできる腰痛対策と運動の方法
1.無理に続けて歩かず、こまめに休む

一番大切なのは、痛みやしびれを我慢して歩き続けないことです。
たとえば10分連続して歩くとつらいなら、
- 5分歩いて休む
- 途中で座る場所を先に決めておく
- 外出を一度で済ませようとせず分ける
といった工夫のほうが現実的です。これらは、症状を悪化させすぎず、生活を続けるための自己管理です。ガイドラインでも、状態に合わせた自己管理や活動の工夫が重視されています。 (Bussières A,2021)
2.前かがみで楽になるなら、その姿勢を上手に使う

スーパーのカート、シルバーカー、杖などで少し前かがみになると歩きやすい方は少なくありません。長く立ちっぱなしを避ける、台所に腰かけられる場所をつくる、外出先で途中休憩を入れることも役立ちます。こうした工夫は特別なことではありませんが、実際に指導することも多いです。
3.座ってできる運動から始める

「歩くとつらいのに、運動して大丈夫なのか」と不安になる方は多いです。
ただ、現在のガイドラインやレビューでは、何もしないより、症状に合わせて動くほうがよい方向が支持されています。運動としては、座ってできる足の上げ下げ、軽い膝伸ばし、体を少し丸める姿勢での運動、前かがみで行いやすい有酸素運動などが使われています。 (Comer C,2024)
4.「調子のいい日」と「つらい日」で量を変える
実際の臨床場面で工夫しているポイントです。
脊柱管狭窄症の症状は、日によって変わることがあります。毎日同じ量をこなすより、つらい日は少なめ、調子のよい日は少し増やすほうが続きやすいです。何よりも続けられる範囲で行うことが大切です。
リハビリでは何をするのか

脊柱管狭窄症のリハビリは、ただ筋トレをするだけ
ではありません。
大切なのは、
どんな姿勢で症状が出やすいか、どこまで歩くと悪化するか、どんな休み方なら楽になるかを一緒に整理することが重要です。
2021年のガイドラインでは、
教育、生活の工夫、ホームエクササイズ、徒手療法、リハビリを組み合わせた方法が推奨されています。 (Bussières A,2021)
運動の内容としては、体幹や股関節まわりの運動、バランス練習、有酸素運動、前かがみ姿勢を活かした練習などが報告されています。この研究でも、1つの運動だけより、いくつかを組み合わせたプログラムが多く使われています。 (Comer C,2024)
また、2019年のランダム化比較試験では、専門家の指導を受ける理学療法は、家で自己流で行う運動だけより、短期的に症状、機能、歩行距離、痛みの改善でよい結果を示しました。(Minetama M, 2019)
自己流では、運動方法が間違っている場合や、適切な負荷がかかっていないことが多いため、最初のうちは専門家と一緒に調整することをオススメします。
あまり勧めにくいもの
あまり勧めにくいものとして、牽引や電気治療(TENS、超音波など)は、ガイドラインでも routine には推奨されていません。
また、脊柱管狭窄症による神経性間欠跛行に対しては、硬膜外注射は勧められていません。
一方で、中心となるのは、生活の工夫と運動療法です。(NICEガイドライン)
こんなときは早めに受診してください。
次のような症状がある場合は、自己判断だけで様子をみすぎないでください。
- 足の力が急に入りにくくなった
- つまずきや転倒が増えた
- しびれや痛みが急に強くなった
- 排尿や排便の異常がある
- 安静にしていても強い痛みが続く
こうした症状は、通常の保存療法だけでは不十分なことがあります。特に、進行する神経症状や膀胱直腸の症状は注意が必要です。
まとめ
脊柱管狭窄症では、無理に歩き続けるより、休み方、姿勢、歩く量、運動のやり方を調整することが大切です。今の根拠では、生活の工夫、運動療法、必要に応じた専門家の指導を組み合わせる方法が有力です。
少し歩くと足がしびれて困っている方ほど、自己流で頑張りすぎるより、一度ご自身に合うやり方を整理する価値があります。
※本記事は教育・情報提供を目的としています。個別の診療判断は医療機関で行ってください。
おわりに
脊柱管狭窄症による足のしびれや歩きにくさは、一人ひとり症状の出方や困りごとが異なります。
だからこそ、今の身体の状態や、どのような場面で症状が強くなるのかを確認したうえで、適切な対策やリハビリ方法を考えることが大切です。
千葉で脊柱管狭窄症による足のしびれや歩きにくさにお悩みの方は、自費リハビリサービスの活用も選択肢の一つです。
当事業所では、一人ひとりの身体の状態や生活での困りごとを確認したうえで、科学的根拠を踏まえた個別のリハビリをご提案しています。
参考文献
- Deer T, Sayed D, Michels J, Josephson Y, Li S, Calodney AK. A Review of Lumbar Spinal Stenosis with Intermittent Neurogenic Claudication: Disease and Diagnosis. Pain Med. 2019 Dec 1;20(Suppl 2):S32-S44. doi: 10.1093/pm/pnz161. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7101166/
- Bussières A, Cancelliere C, Ammendolia C, Comer CM, Zoubi FA, Châtillon CE, Chernish G, Cox JM, Gliedt JA, Haskett D, Jensen RK, Marchand AA, Tomkins-Lane C, O'Shaughnessy J, Passmore S, Schneider MJ, Shipka P, Stewart G, Stuber K, Yee A, Ornelas J. Non-Surgical Interventions for Lumbar Spinal Stenosis Leading To Neurogenic Claudication: A Clinical Practice Guideline. J Pain. 2021 Sep;22(9):1015-1039. https://www.jpain.org/article/S1526-5900(21)00188-7/fulltext
- Comer C, Williamson E, McIlroy S, Srikesavan C, Dalton S, Melendez-Torres GJ, Lamb SE. Exercise treatments for lumbar spinal stenosis: A systematic review and intervention component analysis of randomised controlled trials. Clin Rehabil. 2024 Mar;38(3):361-374. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10829420/
- Minetama M, Kawakami M, Teraguchi M, Kagotani R, Mera Y, Sumiya T, Nakagawa M, Yamamoto Y, Matsuo S, Koike Y, Sakon N, Nakatani T, Kitano T, Nakagawa Y. Supervised physical therapy vs. home exercise for patients with lumbar spinal stenosis: a randomized controlled trial. Spine J. 2019 Aug;19(8):1310-1318.
- National Institute for Health and Care Excellence (NICE).
Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management (NG59).
London: NICE; 2016. Updated 2020. https://www.nice.org.uk/guidance/ng59/resources/low-back-pain-and-sciatica-in-over-16s-assessment-and-management-pdf-1837521693637
執筆者情報

株式会社Journey Rehab 代表|田中
作業療法士(国家資格)/認定作業療法士(日本作業療法士協会)
東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 作業療法学域 博士前期課程 在籍
▪️経歴
・2016年:初台リハビリテーション病院に入職。脳卒中後遺症の回復期リハに従事
・2021年:自費訪問リハビリ分野に活動を広げ、2024年にフリーランスとして独立
・2025年:株式会社Journey Rehab設立。千葉県を中心に訪問型の自費リハビリを提供中
▪️ 研究活動
・第57回日本作業療法学会(2023)ポスター発表
・第34回日本保健科学学会(2024)ポスター発表
▪️論文執筆
