【2026年最新版】パーキンソン病の再生医療はどこまで来たのか?

パーキンソン病の再生医療はどこまで来たのか?

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私はパーキンソン病の利用者様から、リハビリの現場で、最近こんな質問を受けることが増えてきました。

「再生医療をやったら治るんですか?」

ニュースやSNSでiPS細胞の話題を見る機会が増え、期待と不安が入り混じった声を耳にします。

では実際のところ、パーキンソン病の再生医療はどこまで進んでいるのでしょうか?

パーキンソン病の治療は、これまで主に「症状を和らげる治療」が中心でした。
代表的な治療は次の2つです。

  • L-ドパ(薬物療法)
  • 脳深部刺激療法(DBS)

があります。

これらは多くの方に有効ですが、減ってしまった神経そのものを元に戻す治療ではありません。そこで近年、大きな注目を集めているのが「神経を補う」再生医療です


現在、特に押さえておくべき再生医療は次の2つです。

iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞(アムシェプリ)

BlueRockのbemdaneprocel(海外発の有力細胞治療)

いずれも「失われたドパミン神経を補う」ことを目指す細胞移植治療です。

本記事では、2026年時点で公表されている論文・大学発表・企業公式情報をもとに、

・どこまで臨床試験が進んでいるのか
・どのような効果があるのか
・リハビリとの組み合わせは必要なのか

といった疑問に、専門職の視点からわかりやすく整理します。

なぜ再生医療が注目されているのか?

パーキンソン病では、脳の「黒質」にあるドパミン神経細胞が徐々に減っていきます。

その結果、

  • 手足の震え
  • 動きの遅さ
  • 筋肉のこわばり
  • 歩きにくさ

といった症状が現れます。

再生医療は、減ってしまったドパミン神経を補充するという発想の治療です。

これは、パーキンソン病治療の歴史の中で大きな転換点になる可能性を秘めています。

日本で最も注目されているのは、住友ファーマとRACTHERAが開発する

iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞

(製品名:アムシェプリ)

そもそも何をする治療?

パーキンソン病では、脳の「ドパミン神経」が減ってしまいます。この治療は、

①健康な人の細胞から作ったiPS細胞を使い

②ドパミン神経になる途中の細胞を作り

③それを脳の一部(被殻)に移植する

という方法です。

つまり、減ってしまった神経を補う発想の治療です。

どこまで進んでいるのか

京都大学医学部附属病院

で行われた臨床試験では、7名の患者さんに移植が行われました。

その結果

2025に公開された結果では、以下が報告されています(Sawamoto N,2025)。

  • 重篤な副作用は認めなかった
  • 移植した細胞が異常に増えることはなかった
  • 研究対象6例のうち4例で、OFF状態の運動症状の改善が見られた
  • 脳内でドパミン神経活動の増加が確認された

本試験ではパーキンソン病の運動機能検査(MDS-UPDRS Part III [OFF状態] )での変化が主要な効果として認められています。

※本試験は少人数(7例)であり、研究の質が高いとされるランダム化比較試験ではありません。そのため人数が増えた場合に結果が変わってしまったり、一部の人にしか効果が出ない可能性もあるため、このデータは慎重な解釈が必要です。

承認状況

住友ファーマ株式会社は、

  • 2025年8月5日に日本で製造販売承認申請を行いました。(住友ファーマ
  • 2026年2月には厚生労働省の承認申請が行われ、最終段階に入りました。(住友ファーマ

つまり、承認直前段階まで来ています。

しかし、ここで大切なのは、

これは「完治させる治療」とはまだ言えない

今のところ、主に進行期の患者さんの「薬が切れた時の症状」に改善がみられています。

まだ少人数の試験であり、今後も効果の検証が続きます。

次に注目されているのは、BlueRock Therapeuticsが開発するbemdaneprocel

これは海外発の細胞治

ですが、日本でも重要度が高いです。

特徴

  • 多能性幹細胞由来ドパミン神経前駆細胞
  • 被殻への定位的移植
  • 失われたドパミン神経機能の補充を目指す

基本コンセプトはアムシェプリと類似しています。

承認状況

BlueRockは、2025年12月に日本で先駆的再生医療等製品指定(SAKIGAKE)を取得したと発表しています。(BlueRock

つまりこれは、

日本でも優先的に審査される可能性がある治療

という意味です。

将来的には、

  • 効果はどちらが強いのか
  • 安全性はどうか
  • 効果はどれくらい続くのか
  • どのような患者さんに向いているのか

といった比較が重要になります。

再生医療はどこまで来たのか?

2026年時点で整理すると、こうなります。

✔ 安全性

重大な副作用や、腫瘍形成は確認されていない。

✔ 生着の可能性

脳内でドパミン活動増加が確認されている。

✔ 臨床症状

一部患者で運動症状改善が確認されている。

✖ まだ十分にわかっていないこと

  • 長期効果(5年後、10年後)はどうなるのか。
  • 進行を止められるのか。
  • 非運動症状(うつ・やる気の低下・不安・便秘・睡眠など)への効果はどうか。
  • 全ての患者に適応できるのか。

生医療は「魔法」ではない

再生医療は、パーキンソン病治療の未来を大きく変える可能性があります。

しかし、

  • 病気を完全に治す治療ではない
  • 全ての症状を消すわけではない
  • まだ少人数試験段階である

という現実もあります。

それでも、

失われた神経を補う治療が、実際に臨床段階まで来た

という事実は、パーキンソン病治療史の中で非常に大きな前進です。

とめ

2026年時点での再生医療の到達点は、

  • 日本発iPS治療が承認直前段階
  • 海外有力候補も日本市場に参入準備
  • 安全性と初期有効性は示唆段階

という状況です。

これは「完成」ではなく、新しい治療の幕開けと捉えるのが最も適切でしょう。

【免責事項】本記事は、再生医療の研究者の立場ではなく、パーキンソン病の生活支援に関わる専門作業療法士の視点から整理しています。

おわりに

パーキンソン病は、長期的に運動を継続することが重要になります。

しかし、「どのような運動をすればいいのか?」「この運動はやってもいいのか」「自分はどこに問題を抱えているのか」など悩まれる方は多く存在します。そのため、専門家を通じて、細かく評価をする必要があります。

千葉でパーキンソン病のリハビリにお悩みの方は、自費リハビリサービスの活用もご検討ください。

当事業所では、一人一人に最適な科学的根拠に基づいた個別リハビリをご提案しています。

参考文献

Sawamoto N, Doi D, Nakanishi E, Sawamura M, Kikuchi T, Yamakado H, Taruno Y, Shima A, Fushimi Y, Okada T, Kikuchi T, Morizane A, Hiramatsu S, Anazawa T, Shindo T, Ueno K, Morita S, Arakawa Y, Nakamoto Y, Miyamoto S, Takahashi R, Takahashi J. Phase I/II trial of iPS-cell-derived dopaminergic cells for Parkinson's disease. Nature. 2025 May;641(8064):971-977. doi: 10.1038/s41586-025-08700-0. Epub 2025 Apr 16. PMID: 40240591. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12095070/

住友ファーマ株式会社.日本における「非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞」の製造販売承認申請に関するお知らせ.2025年8月5日. https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20250805-2.html

住友ファーマ株式会社.日本における「非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞」(アムシェプリ)の審議予定について.2026年2月13日.https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20260213.html

BlueRock Therapeutics LP, Investigative Cell Therapy Bemdaneprocel for Treating Parkinson’s Disease Receives Pioneering Regenerative Medical Product Designation in Japan, Press Release, December 17, 2025, BlueRock Therapeutics. https://www.bluerocktx.com/bluerock-therapeutics-investigative-cell-therapy-bemdaneprocel-for-treating-parkinsons-disease-receives-pioneering-regenerative-medical-product-designation-in-japan/

執筆者情報

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株式会社Journey Rehab 代表|田中

作業療法士(国家資格)/認定作業療法士(日本作業療法士協会)

東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 作業療法学域 博士前期課程 在籍

▪️経歴

・2016年:初台リハビリテーション病院に入職。脳卒中後遺症の回復期リハに従事

・2021年:自費訪問リハビリ分野に活動を広げ、2024年にフリーランスとして独立

・2025年:株式会社Journey Rehab設立。千葉県を中心に訪問型の自費リハビリを提供中

▪️ 研究活動

・第57回日本作業療法学会(2023)ポスター発表

・第34回日本保健科学学会(2024)ポスター発表

▪️論文執筆