パーキンソン病の方がリハビリをする4つのメリットと、リハビリを継続するための支援策(千葉・東京の訪問リハビリ)

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パーキンソン病は「進行性の神経変性疾患」と言われますが、研究によって 運動やリハビリを継続することで、歩行障害や日常生活動作の低下といった“二次的な機能障害の進行を遅らせる” ことが明らかになっています。つまり、病気そのものを止めるわけではありませんが、生活の不自由さが出てくるのを遅らせ、長く自立した生活を維持することに役立つ のです。ここでは、パーキンソン病の方がリハビリをする4つのメリットと、そのために運動をどのように継続していくことが望ましいか科学的根拠をもとに説明していきます。

リハビリ・運動のメリット

1. 生存率の改善

  • 韓国の大規模研究では、診断後も運動を続けた人は死亡リスクが半分以下に低下していました【Yoon et al., 2021】。
  • 米国の研究でも、診断後に身体活動を増やした人は長生きできることが示されています【Zhang et al., 2022】。

2. 症状の進行を遅らせる(機能障害の進行抑制)

  • 国際的な追跡研究(PPMI)では、運動を継続した人は認知機能の維持が示唆されていますDiaz‑Galván P,et al. (2025)】。

有酸素運動のRCTでは、運動症状の悪化を軽減し、日常動作の維持に効果が確認されています【van der Kolk et al., 2019】。

3. 転倒や合併症を減らす

  • 太極拳を行ったグループでは、バランス機能が改善し、転倒リスクが減少しました【Li et al., 2012】。
  • 専門的な理学療法を受けた人は、誤嚥性肺炎や転倒が少なく、医療費も低いという結果も出ています【Ypinga et al., 2018】。

4. 生活の質(QOL)の向上

  • システマティックレビューによると、パーキンソン病では多くの種類の運動が運動機能や生活の質を改善する効果を示しており、特定の運動が突出して優れているわけではありません。重要なのは、自分に合った方法を選び、無理なく継続することです【Ernst et al., 2023】。

上記のように、パーキンソン病の方がリハビリ・運動を行うメリットは大きく4つあると考えられています。パーキンソン病の方が運動をするメリットはたくさんあるものの、「どのような運動を実施すれば良いかわからない。」、「運動を継続していくのが大変」といったご意見をよくお伺いいたします。

運動については、他の記事でどのような運動が効果の報告がされているかまとめておりますので、こちらの記事をご覧ください→【パーキンソン病リハビリ効果を高める5つの運動:専門家が論文を用いて紹介】

こちらでは、運動を継続していきやすい方法を続いて書いていきたいと思います。

運動を続ける工夫(モチベーションを高めるために)

研究では、運動を継続するために以下のような工夫が有効だと示されています。

  • 小さな目標を設定する:例「週に合計60分歩く」「毎日10分ストレッチする」など達成しやすい目標から始める。
  • 自分の成果を見える化する:歩数や歩行速度、立ち上がる速さなどを記録し、グラフで推移を確認すると続けやすくなります。
  • 周囲の人と共有する:家族や仲間に成果を伝える、またはグループで取り組むと続ける意欲が高まります。
  • 専門家の支援を受ける:理学療法士など専門家のサポートは「正しい方法でやれている」という安心感を生み、継続につながります。
  • 楽しい方法を選ぶ:太極拳やダンス、ゲーム感覚の運動など「やっていて楽しい」と思える活動が続けやすいです。

Journey Rehabでできること

私たちJourney Rehabでは、運動を継続できるように以下のサポートを行います。

  • 専門家による評価:理学療法士や作業療法士が丁寧に症状や体の状態をチェックします。
  • 目標設定:その人に合った無理のない目標を一緒に立て、達成感が得られるよう工夫します。
  • 成果の可視化:歩行速度やバランス機能などを数値化して記録し、グラフで変化を確認できます。
  • 自主トレーニングの提案:日常生活に取り入れやすい運動やストレッチを個別に提案します。

こうしたサポートによって、ただ「運動をする」だけでなく、**「自分に合った運動を楽しく続けていく」**ことが可能になります。

メッセージ

「体を動かすのが大変」と感じていても、散歩やストレッチなど小さな一歩から始めることが大切です。重要なのは「続けること」。Journey Rehabは、あなたがその一歩を無理なく続けられるように伴走します。

本記事は作業療法士による知見や学術的エビデンスに基づき執筆しておりますが、すべての方に当てはまるものではありません。掲載している情報は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を代替するものではありません。

論文情報

  1. Yoon SY, et al. (2021). Association of Physical Activity with Risk of All-Cause Mortality in Parkinson Disease. JAMA Neurol. DOI: 10.1001/jamaneurol.2021.4263
  2. Zhang D, et al. (2022). Association of Diet and Physical Activity with All-Cause Mortality Among Patients with Parkinson Disease. Neurology. DOI: 10.1212/WNL.0000000000200976
  3. Diaz‑Galván P,et al. (2025). Association of Physical Exercise With Structural Brain Changes and Cognitive Decline in Patients With Early Parkinson Disease. Neurology, 105(5):e213932. DOI: 10.1212/WNL.0000000000213932
  4. van der Kolk NM, et al.(2019). Effectiveness of home‑based and remotely supervised aerobic exercise in Parkinson’s disease: a double‑blind, randomised controlled trial (Park‑in‑Shape trial). Lancet Neurol., 18(11): 998–1008. DOI: 10.1016/S1474-4422(19)30285-6
  5. Li F, et al. (2012). Tai Chi and Postural Stability in Patients with Parkinson’s Disease. N Engl J Med, 366: 511–519. DOI: 10.1056/NEJMoa1107911
  6. Ypinga JHL, et al. (2025). Effects of specialised physiotherapy on mortality in Parkinson’s disease: a prospective observational study. npj Parkinson’s Disease, 11:214. DOI: 10.1038/s41531-025-01069-x
  7. Ernst M,et al. (2023). Physical exercise for people with Parkinson’s disease: a systematic review and network meta-analysis. Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 1. Art. No.: CD013856. DOI: 10.1002/14651858.CD013856.pub2

執筆者情報

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株式会社Journey Rehab 代表|田中

作業療法士(国家資格)/認定作業療法士(日本作業療法士協会)

東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 作業療法学域 博士前期課程 在籍

▪️経歴

・2016年:初台リハビリテーション病院に入職。脳卒中後遺症の回復期リハに従事

・2021年:自費訪問リハビリ分野に活動を広げ、2024年にフリーランスとして独立

・2025年:株式会社Journey Rehab設立。千葉県を中心に訪問型の自費リハビリを提供中

▪️ 研究活動

・第57回日本作業療法学会(2023)ポスター発表

・第34回日本保健科学学会(2024)ポスター発表